2013年6月5日水曜日

この「成長戦略」は誰のため

 今日あった会議で、こんな話を聞きました。

 つどいで話された、大学卒業と大学生のお子さんを持つ女性。

 「上の子が奨学金を借りて、何とか大学を卒業できた。

 しかし、正規職員のクチもなくて。

 収入もないのに、奨学金を返さないといけないのが大変。

 それを見て、いま在学中の下の子。

 奨学金を返すことが見込めないなら、って大学をやめちゃった」

 もしかしたら「今の若者は甘い!」と、考える方もいるかもしれません。

 でも私は、大学をやめる彼の気持ちは理解できる。

 それだけ社会に対する閉塞感が、世代的に強いんだと思います。

 今日、安倍首相が「成長戦略」を発表しました。

 規制改革が「1丁目1番地」だそうですが、改革でなく「緩和」と正確に言うべき。

 構造改革路線の継続・発展です。

 「所得10年間で150万円増」が目標であるかのように報じられていますが、総所得で考えるようなので、一部の高額所得者が大もうけすれば、数字上は成り立つでしょう。

 貧富の格差が、拡大するのではないか。

 こういう時に若者にがんばれと言っても、勝ち残れるのは一握りなんですから、大学をやめる学生が出るのも合理的な選択とも言えるでしょう。

 果たして、こんな日本で本当にいいのか。

 これで次代を担う若者が育ち、あらゆる面で継続可能な仕組みは保たれるのか。

 少なくとも奨学金や、授業料で若者たちが展望を失う状況は、解決を急ぎたい。

 文科省でも給付制奨学金には前向きですが、一部のエリート育成のためだけの制度にはしないでほしい。

 もともと学びたい若者には、その環境を保障するというのが政治の仕事なんですから。

 足元を大事にすることは、日本の未来を大事にすることと同じだと思います。

 【今日の句】 励めよと 貸す金あとで 利子が付き

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