2013年7月24日水曜日

なぜ今「集団的自衛権」なのか

 時々、思い出す言葉があります。「戦争につながることは、絶対に止めなきゃいけないよ」--。

 今から7年前、アイヌの鈴木ヨチさんから聞いた話。

 釧路市で看護師をしていた時に釧路空襲に遭い、防空壕に子どもやお母さんたちと逃げたそうです。

 一夜を過ごし壕の中も明るくなったころ、ヨチさんの近くにいた赤子が息を引き取りました。

 「どの子ですか」

 「私の子です!」と言った母親は、赤ちゃんを抱いていました。

 混乱のなかで違う子を抱きかかえ、実の子は冷たい床で寝かせたままだったのです。

 この話の後にヨチさんが言ったのが「戦争につながることは、絶対に止めなきゃいけないよ」。

 この言葉を思い出したのは、先日、安倍首相が集団的自衛権の行使についての検討を明言したためです。

 アメリカに守ってもらうだけでなく、日本も一緒に、ということ。

 憲法が認めていないものですが、解釈次第だ、ということ。

 中国の尖閣諸島をめぐる領海侵入は、確かに心配な問題です。

 しかし、軍事衝突を避けるための外交努力が必要ですし、アメリカもそれは望んでいないでしょう。

 北朝鮮に対しても、6ヵ国協議などでアメリカは対話ルートを開いています。

 それでは、なぜ今、集団的自衛権なのか。

 「自衛」というより「集団」の方が、ポイントなのでしょう。

 今でさえ日米共同訓練がおこなわれ、イラク戦争を契機に「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と協力を迫られました。

 アメリカは緊縮財政のもとで、軍事費も対象になっているだけに、日本の主体的協力を望むところ。

 それに応える道が、憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を可能にするということと思います。

 もちろん明日からすぐに、戦争ということにはならないでしょう。

 しかし、このようにちょっとずつ、ちょっとずつ、平和の礎が崩されていく。

 ヨチさんは3年前、亡くなりました。

 もし生きていたら、きっと「戦争につながることは‥‥」と言っていたでしょう。

 新しい国会議員団に期待しつつ、草の根で世論を広げるために頑張らなきゃ、と思うのです。

 【今日の句】 捨ててよい 命はないと 声聞こえ

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