2013年1月26日土曜日

本の紹介:「ルポ 労働格差とポピュリズム」

 荒天のため予定していた斜里町出張がなくなり、急きょ行き先は釧路市へ。JR移動はじっくり本を読めるだけに、私にとっては一番ぜいたくな時間です。

 今日持参してきた本の1冊が、藤田和恵著「ルポ 労働格差とポピュリズム 大阪で起きていること」(岩波ブックレット)。

 著者は北海道新聞記者時代に、派遣労働を取り上げた連載「派遣さんと呼ばないで」などを手がけていて、現在はフリーライター。

 その連載は私もよく覚えていて、正規労働と非正規・派遣労働の矛盾に、深く考えさせられた記憶があります。

 著者が迫った本書のテーマは「なぜ非正規労働者が、橋下氏を支持するのか」。

 その大前提として、ていねいな取材で次々と紹介される「官製ワーキングプア」の実態や、民間非正規として働く「一人ひとり」の思いを掘り下げていく文章に、ぐいぐいと引き込まれていきます。

 その対比で示される、公務員労組や日本労働組合全体の現状。

 著者は労働組合を否定するものでなく、むしろ今こそ労働組合の出番だと激励し展望も示す書だと思うのですが、それ以上に橋下氏への支持が広がる社会構造や不満の蓄積が、どれだけ大きな問題なのかと考えさせられます。

 書名に「労働格差」の言葉があるように、新自由主義路線で広がった、とりわけ公務職場でのその矛盾が、どれだけ深刻なものかがわかります。

 また同じく「ポピュリズム」の言葉はあるものの、本文中にその語は一度も登場しません。

 安易な決め付けよりも、その背景を深く捉える必要があるのではないか、との著書の問題意識の現れでしょうか。

 橋下氏や維新の会の政策は、登場するような方々の生活を救えるものではないし、このまま突き進めば、どこかで政治的に大きな矛盾が生まれてくるでしょう。

 しかし、だからと言って、橋下氏や維新の会を批判するだけや、達観したような物言いだけをして済むような状況なのか。

 この「労働格差」のもとで苦しむ、多くの方とどうすれば手をつなげられるか、政党としても労働組合としても真剣な取り組みが必要なのではないでしょうか。

 多くの非正規職員・労働者がいることで成り立っている、今の日本社会の現実。

 その現状を当然視するわけにはいきませんが、苦しみ悩む、その当事者の声を受け、労働環境改善であったり、社会の制度改善であったり、本気で取り組む姿勢になっていたのか。

 仮になっていたとしても、その姿が映っていたのだろうか。

 橋下氏のようなパフォーマンスに長ける、という意味でなく、地に足をつけた形で結びつくことが必要だと痛感しました。

 その観点は、著者も本書で指摘しています。

 ウンウンうなって考えているうちに、JRは釧路市へ到着。

 思ったより雪も多くて、驚きました。

 明日は新春交流会で、厚岸町へ向かいます。

 【今日の句】 この格差 つくってきたのは 誰なのか

金曜日の道庁前行動は30週目

 私は半分くらいしか参加できてませんが、猛暑の夏も厳寒の冬も続けてきた反原発北海道連合とスタッフのみなさんの熱意が、再稼動を止める力になっているんですよね。

 昨日も風が強く、体感気温は-10℃くらい。

 それでも先週より多い140人も集まりました。

 その中の1人として参加できたことは、素直にうれしい。

 同時に、寒さは厳しいのですが、5分でも10分でも足を止めて参加してくれる方が増えてほしい。

 札幌とは言え、家や職場から地下鉄などを乗り継げば、道庁前まで30分くらいはかかる方も多いでしょう。

 札幌駅周辺に勤めているのは、道庁はじめ官公庁や大手企業という方も少なくない。

 電力需給や電力料金、経済や立地自治体への影響を心配している方もいると思います。

 道庁前行動は、毎回10人以上の方がスピーチしていますが、そういう問題にも触れて考えを述べる方もいて、私も勉強になります。

 もちろん主旨は再稼動反対ですが、このような対話と意見表明の機会は、もっと広がってほしい。

 ヨーロッパでは、街角でのスピーカーズコーナーを設けていたり、そもそも集会やデモ行進のように自分の意思を表明するのが当然となっています。

 民主主義にとって、最も危険なことは「無関心」。

 原発ゼロへ、私も私の持ち場で、力を尽くしますよ!

 【今日の句】 声に出す その一歩から 民主主義

2013年1月24日木曜日

急げ! 灯油・燃料の高騰対策

 ただいま森つねと道選挙区予定候補のリーフを、何とか1月中には全道へ届くように、大急ぎで作業中です!

 近々、日本共産党国会議員団北海道事務所のホームページもリニューアルしますが、すでに動画ニュースも作成済みで、合わせてアップしていきますので、ぜひご覧になってください!

 ‥‥というわけで、裏方で支える仕事の一方、サービス残業で受けた労働相談での打ち合わせや、灯油・燃料高騰での調査・要請計画などなどの間に、苫小牧での用事も済ませて「時間が足りな~い!」ほどの忙しさなのです。

 特に灯油・燃料対策は、急いで調査・要請計画を進めています。

 今日のニュースでも、釧路市のある銭湯では高い重油に廃材を加えて火を焚き、それでも1ヶ月で4万円ほどの赤字になるとのこと。

 クリーニングや運送関係、ハウス栽培や漁船の燃料‥‥もちろん低所得者のくらしにとっても、1リットル=100円にもなる灯油値上がりは大きな負担。

 08年の高騰時は、当時の宮内聡比例候補が東京へ要請に行き、全道的な福祉灯油の広がりもあって特別交付税で半額分が措置されましたが、これは党派を超えて各党・各政治家が力を尽くす課題だと思います。

 くらしや商売で、お困りの方はいないでしょうか。

 ぜひ気軽に、このブログを通じてでも構いませんし、近くの党事務所などにご連絡ください。

 使える制度があるかもしれませんし、そのような声が多数となれば行政や国政を動かす力になります。

 じっと耐えることだけせずに、苦しいことは声に出してくださいね。

 それにしてもアルジェリア人質事件で、多くの犠牲者が出たことには、ご家族のことを思うと本当に残念です。

 あらためて心から、お悔やみ申し上げます--。

 【今日の句】 盾にして いい命など どこにもない

奈井江町で考える地方分権

 奈井江町での党と後援会「新春交流会」へ。北良治町長からも、メッセージが届いていました。

 北町長さんとは、以前に1時間近く懇談させていただいたことがあります。

 懇談とはいえ、そのうち50分ほどは北町長さんからのお話だったのですが‥‥主には地方分権のお話でした。

 伺った時は豪雪の年で、道路管理が話題に。

 奈井江町には、北電の火力発電所があります。

 燃料の石炭は毎日、200~300トン運ばれます。

 ですから、通じる道路の除排雪が進められないと、発電できない状況になります。

 その道路は道道なのですが、急な天候変化に対応するには、町でおこなうのが一番といいます。

 なるほどと思いながらお話を伺ったのですが、昨日の北町長さんからのメッセージには、くらしに関わることに加え、基本自治条例のことにも触れられていました。

 自立と自律のまちづくりを、どう進めるか。

 権限と財源の委譲には、利権がかかわるため政府官僚が手放さない、などの指摘もされます。

 また、全国どこでも国民生活が保障されるには、確かに国の責任は大きいでしょう。

 しかし、北町長さんが指摘するような(道と町の関係の話でしたが)、具体的で効率的な、しかも地方自治体が意欲をもっている課題には、その方向での改正は進めるべきだと思います。

 道は国の下請け機関のようだとか、道と市町村との連携不足などの指摘も耳にします。

 市町村のなかでも、財源や人員の不足から、委譲されても‥‥との思いを持っている自治体もあるでしょう。

 だからこそ、私たちのように政党・政治家が間に入り、調整や政策化の一助となることも大切なこと。

 奈井江町で、党員・後援会員の方と交流を深めながら「町のあり方」も考えました。

 【今日の句】 小さいが キラリ輝く 町がある

2013年1月22日火曜日

物価上昇率2%目標は、何をもたらすか

 政府と日銀による、物価上昇率目標「2%」(前年比)が決められました。しかし問題は、需要・家計消費が上向くかどうか、こそ焦点ではないかと思います。

 物価目標は、上がり続ける物価を抑えるため、というのがこれまでの「常識」というものでした。

 デフレ脱却のために物価引き上げ目標を持つというのは、世界でも日本が初めてとか。

 有効性は専門家でも意見が分かれていると言いますし、新聞の解説記事でも先に述べた需要拡大に結ぶかどうかが試金石だ、という論調が目につきます。

 これが円安につながり、輸出企業を中心に成長する、という筋書きでしょう。

 しかし、この「成長神話」と金融緩和が家計消費に回るかは、不鮮明な部分が多い。

 小泉「構造改革」下でも、輸出大企業を中心に業績は好調でしたが、労働者報酬に回らず、家計消費は冷え込んだままでした。

 それが「実感なき好景気」と言われる、ゆえんでした。

 まして消費税増税と社会保障改悪を控え、くらしから見れば将来不安・リスクが高まっているなかで、国内消費が上向く好材料は多くないでしょう。

 円安による灯油・ガソリン高が、じわじわと北海道経済も蝕んできています。

 大盤振る舞いの公共投資に税金(というより借金)を投入するのなら、社会保障の安定に回した方がいいのでは。

 そもそものくらしの安心とともに、消費マインドも下支えできます。

 国会論戦でも大きなテーマになるでしょうが、それより前に党道委員会として北海道へ要請をおこないました。

 来年度予算編成と当面の道政執行にかかわって、森つねと道選挙区予定候補、真下紀子道議、小選挙区4区候補だった菊地よう子さん、青山慶二道書記長などと要請です。

 多田健一郎・道副知事が対応していただき、私からは3点で要請しました。

 ①政府の補正予算による公共投資については、自治体負担の重さと、大型事業より生活密着型事業が望まれている点で意見が上がっていることを踏まえること。

 ②灯油高が続くなか、地域づくり交付金を活用して福祉灯油制度を実施し、08年のように国へ特別交付税の措置などを求めること。

 ③津波被害を受けた際の「グループ補助金」で、経過からみて、北海道から申請した業者は確実に対象となるよう国へ働きかけること。

 道政独自の問題というより国政がらみが多くなってますが、道が果たすべき問題では真下道議からも話しました。

 森つねと道選挙区予定候補は、札幌白石区の姉妹孤立死にも触れて生活保護引き下げを許させないことや、ケースワーカーが全国から見ても少なく配置を増やすよう求めました。

 多田副知事からは「公共投資については自治体からの相談があれば受ける」「灯油の値上がりは注視している」などのご回答をいただきましたが、認識として共有された程度かなと思います。

 それにしても道議会は1人、国会でもまだ議席が少ないということを、こういう場面を通じて、いつも悔しく思います。

 願いを実現できる、大きな議員団を国会でも道議会でもつくらねば。

 まずは参院選で!

 --アルジェリア人質事件で、犠牲となられたすべての方に、心から哀悼の意を表します--

 【今日の句】 印刷し 増えるは金か 溜め込みか

橋下・大阪市長の、強引な手法の奥にひそむものにこそ注意を

 小1の娘の、長かった冬休みも終わって昨日から学校へ‥‥冬休みより起床も食事もピッピッと済ませていて、子どもなりに緊張感があったんでしょうかね。

 2ヶ月ほどの短い3学期が終われば、今度は2年生!

 この間、入学式を済ませたような気がするのに‥‥早いなぁ。

 インフルエンザで学級閉鎖という学校もあるようで、みなさんも風邪やインフルエンザにはお気をつけください。

 ところで大阪・桜宮高校の入試問題、みなさんはどうお感じになったでしょうか。

 生徒を死に追い込むような体罰は言語道断ですが、直接の責任もない受験生にまで影響を及ぼす必要があるのか。

 体罰や入試の問題以前に、「子どもの学び、成長する権利」を保障することを基本に置かないといけないのではないでしょうか。

 橋下市長の教育観は問題だらけなのではありますが、その基本から問われなければいけないと思います。

 彼は教育は「2万%強制」と言っていました。

 わざわざ誇張表現を使うのは作戦だとしても、そこには子どもたちがみずからの力で伸びていく可能性は視野に入っていません。

 だから体罰もルールが必要、という発想になる。

 今回のように、受験生の学ぶ意志や権利より、みずからの行政判断を押し切る。

 彼の強引なまでの手法に喝采を送る方もいますが、問題は手法でなく、その奥にひそむものと見るべきだと思います。

 確かに教育現場や子どもの成長には、さまざまな課題があります。

 それを裁くのではなく、合意をつくる方向で解決できるか、教育行政の責任が問われています。

 そして国民的に、懇談でもネット上の会話でも、冷静な議論を進めるときだと思います。

 そうでなければ、いつの間にか「強引」で「頼れる」ものが、国民を縛っていく方向に進んでいくのですから。

 【今日の句】 子どもらに 何を示すか 問われてる

2013年1月21日月曜日

大型店に頼らない町づくりには

 北見市党と後援会の新春交流会に参加して「参院選はがんばるからね!」などの声がかかりました。私も同じ気持ちでがんばります。

 小選挙区候補として奮闘した菅原まことさんも話してましたが、とりわけオホーツクは厳寒と悪天候の中での総選挙でした。

 それでも必死の取り組みがされたのですから、感謝の一言に尽きます。

 しっかり総括・反省をしないといけないな、とあらためて思います。

 時間もあったのでフラッと駅前周辺も歩いたのですが、国道周辺の大型店が並ぶ地域に押されているんだなぁと、つくづく感じました。

 北海道の地方都市はどこでも、駅前を中心とした商店街の活性化に苦労しています。

 もちろん国民所得を引き上げることが基本なのですが、独自にやれることがあるのではないか。

 北海道も企業誘致には補助をするなどありますが、商店街関連予算は増えていません。

 イベントや買い物ポイント制にしても、地元商店街の努力だけでは足りないのが現状ではないでしょうか。

 「町の顔としての商店街」「大型店に頼らない町づくり」など、国や道が積極的に関わる必要があると思います。

 いろんなことを考えながら、札幌の自宅へと帰路に着きました。

 【今日の句】 車窓から 見える足跡 鹿の跡

2013年1月20日日曜日

除雪の重み

 昨日も、車を出すための除雪に、娘が通う学童保育所の除雪をして出たのに、あっという間に雪が積もって朝早く今も雪かきをしてきました。これから北見へ向かいますが、JRは大丈夫かな‥‥。

 新日本婦人の会北海道本部50周年レセプション、労働相談、室蘭市とむかわ町の党と後援会「新春交流会」など、各地を回ってどこでも「寒いですね~」と声が出ます。

 むかわ町は、旧鵡川町と旧穂別町が合併した町ですが、穂別では-25℃を下回り、鵡川でも地元では珍しいというくらい-20℃を記録してるとか。

 私のような働き盛りにとっても除雪は大変なのに、高齢者にとってさらに大きな負担。

 届いたばかりの今日の「しんぶん赤旗」を見ると、北星余市高校の3年生30人以上と青少年自立支援センター「ビバハウス」のスタッフ3人とで、除雪ボランティアをされたそうです。

 除雪が初めてと言う男子生徒もいたようで「思ったより雪が重くて大変だった」との感想が、何だか新鮮。

 軽い雪でも降り積もれば、重たい雪になるんですよね。

 寒さで灯油代の値上がりも心配になります。

 そういえば、泊原発再稼動問題で経済界から「北海道は電気が止まれば命にかかわる」と言っていたと記憶しますが、そこまで言うなら「灯油高は命にかかわる」とも言うべきです。

 灯油などの便乗値上げや売り惜しみはないか、経済界としてできることをやれないでしょうか。

 命の問題を原発だけに都合よく出したのなら、そんなこと言わないでほしい。

 さて北見の天気はどうなっているか‥‥出発の準備にかかります!

 【今日の句】 首都圏の 雪もつらいと 思うけど