2015年10月17日土曜日

農水委員会視察の報告(イタリア編)

 約11時間のフライト(機中泊!)を終えて無事に帰国しました。学ぶことが多かった、1週間もの農水委員会でのイタリア・オランダ視察の感想を、2回に分けて記したいと思います。

 視察前半はイタリア。

 視察先の中心は、①ミラノ博覧会にて各国の食糧事情などを学ぶこと、②世界的に有名なチーズ生産工場の視察で、移動途中に地元スーパーや市場なども回りました。

 ミラノ博覧会は「食」がテーマで、日本はじめ各国がブースやパビリオンを持ち、自国の食糧事情や食文化の発信などをしており、短時間で多くの国の現状を学べる‥‥と思いきや、会場は平日にもかかわらず超満員!

 日本館は人気な国の1つで、雨が降る肌寒い日であるにもかかわらず館をぐるっと取り囲むように1時間も2時間も待っているのですから驚きです。

 視察ということで、現地で案内付きで時間を確保していてもらっており、見ることができたのはイタリア・日本と次回開催国のカザフスタン。

 イタリアは北部と南部で経済的にも社会的にも違いがあり、土地も違えば取れる農産物も違います。

 左写真は、イタリア各地の土や農産物を国の形に配置してある展示物。

 イタリアは国土の約45%(!)が農用地で、トウモロコシや小麦のほかコメも作付し、ワインの国らしく果樹の生産も盛ん。

 そして毎年1000万トン以上の生乳を生産する酪農大国であるのです(日本は2013年で751万トン)。

 国内GDP比でも日本が1.2%であるのに対して2.1%で、農業生産額はEU第3位です。

 説明を聞くと、イタリアとして農業の果たしている意義を広く国民にも伝えることがコンセプトにあり、震災で耕作できなかった時の映像や、イタリア全土がすっぽりない模型地図(右写真)などでその存在意義を示していました。

 なるほど、例えば北海道のない日本地図と食糧状況を並べたら、北海道農業の果たしている役割がわかるのかな(もちろんどの県もそうですが)と納得。

 土を見てあらためて感じましたが、雨量の多い北部と、地中海に面して比較的高温の南部とでは違いがはっきり。

 このような努力と歴史のうえに、どの国も農業が成り立っているんですよね。

 日本館は和食を中心にした展示や参加イベントがあり、国際的な人口増にともない食糧不足が懸念されるなか日本も解決に向けた役割を果たしたい旨が書かれていました。

 それならそういう国策になっているかをチェックするのが私の役割ですが、そもそも今回の博覧会テーマは単に「食の祭典」というものでなく、このような食をめぐる問題へのアプローチを各国が示しことにも意義があるものです。

  なお日本館では数日ごとに入れ替わるステージ・ブースがあり、先週は北海道で、私たちが視察したときは福島県でした。

  震災と原発事故からの復興の現状を映像で示していたほか、兜や鎧を身につけて記念写真を撮るコーナーが人気で列もできていましたよ。

 次回開催国のカザフスタン館については知識も少ないまま行ったのですが、実はリンゴの原原種があるなど、農業でも大きな位置を占める国でもあるのです。

 イナゴの大発生で農作物が被害を受ける国でもあり、下写真のようにドローンを使ってイナゴの位置や数を把握して駆除する技術なども検討されているそうです。

 今回の視察全体を通じて言えることですが、各国ではさまざまなテクノロジーも開発・連携・融合しながら生産を進めていることがわかります。

 それは新たな品種改良や収量増加だけでなく、自然災害などとのたたかい、新たな食に対する社会的関心、また安全性の確保にもつながるものなど幅広いものでした。

 人間は食べないと生きていけないわけですから、まさしく農業は生命産業であることを確認して会場を後にしました。

 途中に立ち寄ったスーパーでは、イタリアらしくワインをコックから出して量り売りをしていましたし、広い公園を日によって転々している市場では野菜・果樹、チーズやパンなどの食料品、衣服に日用品など生活必需品も販売していて、売り手と消費者の距離が近い国なのかなと感じました。



 翌日に訪れたのは、日本でもブルーチーズで有名なイゴール(IGOR)社。

 会社があるゴルゴンゾーラ地方の名から、ゴルゴンゾーラのチーズと言っても馴染みがあるでしょうか。

 ミラノからバスで延々と移動するのですが、郊外に出ると見渡す限りの農地が見えて、こうべを垂れた稲穂もあれば、放牧されている牛の姿もちらほらと。

 イゴール社は世界的に名の知れた会社ではありますが、生産規模に比して従業員は230人と中堅企業なみです。

 そこには徹底した合理的なシステムがあることを、説明を受けて納得。

 すべてを書ききれないのですが、生産者から集められた生乳の成分分析からチーズに加工していく過程を追跡できるようにしていて、品質の安全性と安定へのこだわりから出たものとのことでした。

 技術的なことはもちろん、同時に知りたいのは生産者との関係。

 加工や販売側の力が強く、価格面で生産者が苦労する現実が日本には見受けられますが、その点には、もちろん生産者が適正な利益が得られればければいけないし、生乳の品質の安定がなければいけないと。

 そのために乳牛の健康も維持しなければいけないし、無理な搾乳はしないように生産者とも共通認識にしているようなお話でした。

 今回の視察では実際のイタリア農家から話を伺える機会はなかったのですが、見える農地の広さや牛の様子を見るとストレスは少ないのかなと確かに思えます。

 日本農業に生かせる点はしっかり生かさないといけないですね。

 ところで、このイゴール社は家族経営が出発点で、経営は息子に任せた80を過ぎたおじいちゃん・おばあちゃんも元気に工場内で働いていました。

  一般にイタリアは定年制度というものがないそうで、年金をもらえる年になって自然とリタイアしていくのですが、元気に働く方も多いのだとか。

 笑顔がすてきで、工場内で記念撮影などアットホームな雰囲気でした。

 余談ついでにミラノに来てビックリしたのは、路上駐車の多さでした。

 見事なまでの縦列駐車の技術や、歩道にまで乗り上げて(!)、それでいて整然と駐車されているのです。

 古く歴史ある街並みや、それを保全する開発規制なども関係して、アパート・マンションや会社などの駐車場が確保できないようです。

  路面電車など公共交通機関はあるのですが、ミラノも車社会なんですね。

 長文で申し訳ありませんが、ひとまず今日はイタリア編ということで、明日はオランダ視察について書きます。

  【今日の句】 前半を 終えてやっぱり コメ欲し

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