2018年5月16日水曜日

人間はモノじゃない

 「働き方改革」一括法案の基礎となっていたデータは2割強が虚偽でした。もはや前提が大崩壊なのに、政府・与党が採決をめざすとは!

 厚生労働省の発表によれば、労働時間の調査を全11,575事業所へおこなっていますが、うち2,492事業所のデータを削除したとのこと。この調査をもとに、一般労働者の労働時間をより長く見せかけていたことになります。それでも加藤厚労相は「調査自体は適正」と居直る発言をしました。理解できません。

 6野党会派は、このデータをもとに話し合っていた労働政策審議会に差し戻すことを要求しています。こんな状況でもなお政府・与党が一体に、採決強行へ進もうとするのでしょうか。だとしたら、これまた理解も容認もできません。

 「高度プロフェッショナル」の名のもとに残業代をゼロにしていくことが、なぜ「働き方改革」なのでしょう。過労死ラインを超える残業時間を認めて、どこが「働き方改革」なのでしょう。人間はモノじゃない。人間らしく生きる時間や賃金を奪い取るような、こんな法案は白紙撤回すべきです。

 来週の政府交渉の準備で、JR北海道の問題を調査・整理しています。北海道新幹線の赤字増大も含めて経営状態が深刻となるなか、鉄路維持とともに私が心配しているのが社員さんの雇用・労働環境です。

 一般的に、会社が将来的にも赤字が続くとわかっていれば、その会社に居続けるべきかと考えるでしょう。しかし、鉄道という公共交通を支える喜びや誇りがあるからこそ、JR北海道で働き続けているという社員さんもいるかと思います。そういう社員を大事にして鉄路を維持してこそ北海道に根付いた企業と言えると思うし、JR北海道には、そうなってほしいと願っているのです。

 人減らしが進むなか、豪雪や自然災害などからの復旧には昔より時間がかかるようになりました。安全面の技術継承も、重要課題です。業種を問わず交通関係は運転手不足が顕在化しています。公的な分野は、やっぱり国が責任を負うべきだと思います。

 いったい「働き方改革」って何なのか。人間らしく働けることは、人間らしく生きられる社会の実現でもあります。それよりも利益最優先である現実が、どれだけ日本社会とゆがめてきたのでしょう。どれだけの方が心と体を壊してきたり、過労により命までも奪われてきたのでしょう。

 本当の「働き方改革」は規制緩和でなく、規制強化であるべき。仕事のために命が奪われ、家族などとの時間も奪われる社会は早く終わりにしたいのです。

 【今日の句】商品も 2割不良は 回収だ

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